僕はあれから和紙を何度も何度も染めてみた。
たくさんの色ができた。
同じ染液でも毎回少しづつ色がちがった。
自然の色はみんなちがっていいんだね。
紅茶で染めた赤みの色
栗で染めた黄みの色
この二つの色を僕は大好きになった。
栗の染液で、便箋と封筒を染めた。
栗模様も描いた。
栗のラベルも染めてみた。
紙が変わると、栗色も変わるんだね。
カノウさんからもらった大切な栗の染液
僕はカノウさんにお礼の手紙を書いた。
僕の染めた和紙
どんな作品になるのかな。
僕の色(4) 記:栗太郎
9歳のお誕生日に
今年、庭に植えた鈴蘭が初めて花をつけた。
見つけた時、何とも嬉しい気持ちになった。
1年に1回、お誕生日のお祝い作品を作る。
10年間続く幸せなご依頼
今年は9回目、9歳のお誕生日
もうあと1年なのだと感慨深くなる・・・
毎年作品に名前をつける。
想いを込める。
今年の作品は「音」
私が小さい頃、祖父母と一緒に過ごしていた。
きっと溢れるほどの愛情を毎日毎日もらっていたのだと思う。
それは自然なことだった。
大人になり、心の奥底にいつも温かなものがあると感じるようになった。
声なき声のように。
大切なメッセージを想う。
心が感じる声。
その声をその音を思った時、鈴の音が浮かびまた同時に鈴蘭の花が浮かんだ。
愛らしい鈴蘭
他の花にはない何かを持っているようでもあり。
鈴蘭の花模様をつける。
上には鈴蘭の花束。
その女の子が大好きな紫色のリボンをつけて。
彼女が大人になった時、今の温かな時間がいつか声になって感じる時がくるのかな。
温かな声
すずらんの花がゆれるように・・・
お誕生日おめでとう。
花束
ある番組がきっかけで出逢った中学校の先生
和紙スイーツを授業で紹介して下さった。
嬉しくて封筒に和紙を入れてお便りをした。
先生と生徒さんから感想のお便りが届いた。
その後も先生と温かなやりとりが10年以上続いていった・・・
和紙スイーツの展示へもよく足を運んで下さり、会場にはいつも先生からの花束があった。
遠方での展示会場で、その花束に何度も励まされた。
先生は教頭先生になられ、校長先生になられた。
生徒さんとのやり取りのご様子は、いつも生き生きと輝くようだった。
今月、ご退職なのだと知る。
先生からどれだけたくさんの花束を頂いてきたのだろう・・・
和紙で作った小さな花束を添えて・・・
先生もまたお花が大好きだったのだろうか。
今週末には桜も見頃になるようで。
たくさんの生徒さんを見送ってこれられた先生
ご退職の日は、きっと優しい桜色に包まれて・・・