お菓子をテーブルに置くと、急に空気が華やぐようです。
お菓子が愛らしいからかな。
みんながニコニコするからかな。
お菓子の背景に広がる、目に見えない華やかなもの。
見つめた時の楽しい気持ち。
それを包む温かな笑顔・・・。
美味しそうなモンブランを見ながら、スケッチしていた時、
「何かに似ている・・・、何かが足りない・・・。」
ぼんやりと見つめた後、ふと描き加えた天使の羽。
それ以来、目に見えないものを形にする楽しさを感じるようになりました。
華やいだ雰囲気は、どんな形だろう。
甘いお菓子の香りはどんな色かな・・・。
和紙のようにふんわり、ふわふわするのかな。
・・・心に甘く届くといいな。
天使の羽
色と形と紙と
「なんてきれいな紙なんだろう・・・。」
何度出逢っても、そう感じる美しい紙。
透けるほどに薄い和紙「典具帖紙」(てんぐじょうし)。
白、黄色、オレンジ、赤・・・。
薄い和紙が重なり、柔らかに溶け合う色。
和紙を1枚に広げて、手でそっと握ると全く別の表情に・・・。
保たれる形。
そこに現れる色。
和紙を切り取り、重ねながらパーツ作り。
一つづつ異なる色。
色の楽しみ。
くり抜いたり、紐状にして飾ったり、紙を曲げたり・・・。
いろいろな形。
形の楽しみ。
色と形と紙と。
創作の楽しみ・・・。
創造はモノクロの世界から
数年前、新聞の取材を受けた時のことです。
掲載用の作品写真にと、カラフルなクッキーがたくさん並んだ作品を撮影して頂きました。
作品について尋ねられ、和紙での色表現の楽しさや、微妙な色合いが生れる面白さを夢中
で話しました。
すると記者の方が申し訳なさそうに、「今回の掲載写真は白黒なんです・・・。」と。
・・・思わず笑ってしまいました。
数日後、掲載して頂いた白黒写真を見て、ハッとしました。
私の創作の楽しさは、「形から始まるんだ・・・」と。
「この形は和紙で表現すると、どうなるのだろう・・・。」
お菓子を見つめながら、それを考えるところが創作の楽しさなのだと。
只今、ドーナツをいろいろ制作中。
もちろん美味しそうな焼き色、カラフルな色もまた大きな魅力です。
が、今回は形を表現したくて、実際のドーナツをよくよく観察。
ねじりのドーナツ。
角がしっかりして、中央に割れ目のある平らなドーナツ。
小さな丸がつながったドーナツ。
それぞれの形。
それぞれの特徴。
ねじりながら、しなやかに丸くするにはどうしたらいいのかな・・・。
中央のくぼみ、平らな形はどんな表現だろう。
小さな丸のつなぎ目は、少しくっついて雪ダルマみたい・・・。
「こうすると、この表現ができる。」という、発見の楽しさ。
和紙のしなやかさを楽しみながら、一つづつ形にしています。
ちょっとした加減で、同じ形も作る度に違う表情に。
それもまた手作りの良さかな・・・。
くるりと丸いドーナツ。
ねじりのドーナツ。
クリームをのぞかせたドーナツ・・・などなど。
今度の教室でも、いろいろな形をお楽しみ頂く予定です。
和紙スイーツ1日教室「ミニドーナツ」