僕の色(1) 記:栗太郎

| 2019.04.08 Monday

この春、僕はずっと考えていたことがあった。
桜を眺めながら、お団子を食べながら、そのことはいつも頭にあった。

僕の和紙、典具帖紙(てんぐじょうし)
透けるくらい薄い和紙
僕のクリームも栗も、みんなこの和紙だからできるんだ。





もうひとつ大切なこと。
それば僕のマロン色
たくさんある茶色の中でも特別な色なんだ。
僕はその色を自分で染めてみたいって考えてたんだ。

でもどうやって・・・
何を使って・・・
それをずっと考えてた。

ある朝、僕はいつものように紅茶を飲んでいた。
ほわん~と湯気がたった時、僕はひらめいた!





「紅茶!!」
この優しい茶色なら、きっと僕の好きな色に染まるんじゃないかな。
それに紅茶はお菓子とも仲良しだよ。

僕はさっそく、いつも飲んでいる紅茶を作った。
バットに入れて、白い典具帖紙を浸した。
その瞬間、僕はハッとした!

薄い和紙が一瞬で溶けるようだった・・・
紅茶は黄金色のようで、キラキラとゼリーのよう。
僕はしばらくうっとり眺めていた。





でも優雅な気分なのは、ここまでだった。
和紙を取り出そうとしたら、くしゃくしゃになってしまった!
伸ばそうとしたら破れそうになって、そのまま乾かした。
形も悪くて、色も薄すぎた・・・・・・

でもこれくらいで僕はくじけない。
気をとりなおして、紅茶液を作った。
今度は苦くて飲めないくらい濃くした。

染める工程もいくつかあった。
ミョウバンってなに?
バイセンザイってなんのこと?
僕の知らないことだらけだった。

紅茶液を塗っては乾かし、塗っては乾かしを繰り返した。
和紙がくしゃくしゃにならないよう考えた。
いつもは冷たい美紀さんも今回はめずらしく協力してくれた。





これを乾かしたら最後だ・・・
「ねぇねぇ美紀さん、最後だから手伝ってぇ。」
僕は甘い声で頼んでみた。

「最後だから自分でやりなさい。」
やっぱり美紀さんは冷たかった。





乾くと色がまた変わるね。
僕が染めた和紙、どんな色になるのかな・・・・・・

私の栗太郎を作ろう!その4

| 2019.01.20 Sunday

アジアンティーサロン蓮庵さんでのワークショップ
「私の栗太郎を作ろう!」





着物姿の友人の横には、栗太郎のお正月作品
蓮庵オーナーさんもご参加下さり、店内テーブルで和気あいあいと。
おしゃべりしながら、それぞれのペースで進んでいく。


今回は栗(頭)のデザインにびっクリ!
すっと伸ばしたり、渦巻きにしたり・・・
本当に人それぞれ
自分の中にある何かが形になって出てくるのかな。
ここにどんな小物がついてくるのかな。





オーナーさんは店内飾りの小物を置いて。
サイズもピッタリ!

渦巻きが天女の髪型のよう。
典具帖紙の衣をふわりと纏う。

葉っぱの飾りは、その方ならでは。
彼女の作風とも重なって、こんな小さな姿にもそれぞれの世界が出てくるんだな・・・と。







お菓子教室の先生もご友人とご参加下さった。
私の原点も一緒だったとお話も弾む。
仲良しのお二人は、作品もまた仲良く会話しているようだった。

皆さんにそれぞれ名前をつけて頂く。
できあがった作品も名前も、その方の一部のようだと思う。
一緒に写真を撮りながら、作品同士も仲良しになってまた笑顔華やいでいく・・・





たくさんの楽しみを秘めた栗太郎ワークショップ
出張もいたしますので、詳しくはホームページ「問合せフォーム」にてお尋ね下さいませ。

これからもいろいろな場所で、その人の栗太郎に出逢えたら嬉しいな。


私の栗太郎を作ろう!その3

| 2019.01.16 Wednesday

昨年、ギャラリーの椅子に座ってある作業をしていた。
それは至福の時間だった。





「私の栗太郎を作ろう!」にご参加頂いた方の作品カードを作った。
それぞれが付けた名前の栗カードに、作品写真を貼る。

個性豊かな作品に、付けた名前もまた豊かだった。
栗絵、栗姫、夢来栗(むきぐり)、クリリン、くりえもん、クリゲリータ、クリスティーヌ
オリンピッくり~、さぬきマロン、とっくり、くりスマス、フーテンのくりさん
目指せ甲子園、小さい秋見つけた、もういくつねると♪・・・などなど。
「ありがとう」と記した方も複数いらした。

作品が増えてくると、グループができてきた。
野球チーム、旅をして温泉で楽しい宴組
ペットを連れた方、好きな食べ物を持たせた方など、
全く知らない方同士が仲良しになるようで、何とも楽しいことだった。






小学生のお子様も、お2人ご参加頂いた。
作りたいものいっぱいで、次々と形になっていった。
椅子の上は、楽しい小物で溢れていた。
子供は夢いっぱいなのかな・・・





クリームの形、栗の大きさ、持たせた小物、付けた名前・・・
どこかその方と重なっているようでもあり。
それぞれの中にある何かが、豊かに表現されていた。

自分で考え、生み出したもの。
「みんな力がある!」
作品を前に、つい何度もくり返した。
私にとっても、今までにない衝撃的なことだった。





くりエモンからクリスティーヌさんまで、総勢44名の方にお作り頂いた。
「私の栗太郎を作ろう!」
まずは100人を目指していきたいな。

今年もまた機会を頂き、それぞれの世界がとても楽しみ!

2019年「私の栗太郎を作ろう!」


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